こども性暴力防止法(日本版DBS)とは?内容や仕組みをわかりやすく解説

こどもを性暴力から守り、安心して過ごせる環境を作るために、2024年6月に「こども性暴力防止法」が成立しました。

この記事では、ニュースでも耳にする「日本版DBS」とはどのような仕組みなのか、お子さんのいる保護者や一般の方向けに、専門用語を避けてわかりやすく解説します。

【この記事でわかること】

・こども性暴力防止法(日本版DBS)の目的と、いつから始まるのか
・こどもと接する仕事に就く前の「犯罪事実確認」の仕組み
・どのような犯罪が対象になり、性犯罪の前科が確認された場合はどうなるのか
・この法律の対象となる事業者(義務・認定)の違い
・保護者として、こどもを守るために知っておきたいこと

こども性暴力防止法とは?わかりやすく概要を解説

引用:YouTube(こども家庭庁より)

正式名称と成立の背景

この法律の正式名称は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」という非常に長い名前です※。

そのため、一般的には略して「こども性暴力防止法」と呼ばれています。

成立の背景には、こどもへの性犯罪、とりわけ先生や指導者など「こどもから信頼される立場の大人」による事案が相次ぎ、深刻な社会問題となっている現状があります。

性暴力はこどもの心身に生涯にわたる深い傷を残すものです。

こうした悲劇を「起きてから対応する」のではなく、「未然に防ぐ仕組み」を作るためにこの法律が成立しました。

※参考|e-GOV法令検索|学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律

「日本版DBS」とは?

「日本版DBS」という言葉は、イギリスの「DBS(Disclosure and Barring Service=前歴開示・前歴者就業制限機構)」という制度を参考に作られたため、そう呼ばれています。

過去に性犯罪の前科がある人を、こどもと接する業務に就かせないようにすることで、こどもの安全を守ることが目的です。

こども性暴力防止法の具体的な「内容」と仕組み

この法律では、事業者に「こどもへの性暴力を防ぐための安全確保措置(相談しやすい体制づくりや研修など、日頃の取り組み)」を求めています。

その中心となる仕組みの一つが「犯罪事実確認」です。

働く前の「犯罪事実確認」

こどもと接する仕事に就く前に、過去に性犯罪の前科がないかを確認する仕組みです。

事業者は、こども家庭庁の専用システム(「こまもろうシステム」)を通じて申請します。
確認を受ける本人は、戸籍情報を提出し、その後、こども家庭庁が法務省に性犯罪の前科を照会し、結果が事業者に伝えられます。

参考|犯罪事実確認に関する詳細は、こども家庭庁のこちらのページに記載されています。

対象となる「特定性犯罪」と確認の対象期間

確認の対象となるのは「特定性犯罪」と呼ばれるものです。

刑法上の犯罪(不同意わいせつ、不同意性交など)だけでなく、児童買春や児童ポルノの所持、痴漢や盗撮など、条例違反を含むものも幅広く対象です※1。

また、被害者がこどもである事案に限らず、成人に対する性犯罪であっても確認の対象となります。

さらに重要なのが「確認の対象になる期間」です。

一般的な前科よりも長めの期間が設定されており、次のとおり、刑の種類によって起算点も異なります※2。

  • 拘禁刑(実刑)の場合:刑の執行が終わってから20年
  • 執行猶予付きの判決の場合:判決が確定してから10年
  • 罰金刑の場合:刑の執行が終わってから10年

これらの期間がまだ経過していない人が、確認の対象となります。

※1参考|こども家庭庁|こども性暴力防止法の解説資料|【特定性犯罪の一覧】p19より
※2参考|こども家庭庁|こども性暴力防止法に関するQ&A(Q2-9)
※不起訴など有罪が確定していないものや、窃盗など性犯罪以外の犯罪は、対象外です。

性犯罪の前科が確認された場合はどうなる?

性犯罪の前科が確認された場合、事業者は「性暴力のおそれがある」と判断し、その人をこどもと接する業務に就かせない措置(防止措置)を取る必要があります。

また、人権への配慮として、事業者へ結果が通知される前に、本人に対して「事前通知」が行われます。

本人は通知内容の訂正を請求でき、その期間中に内定を辞退した場合は、犯罪事実確認書が事業者に交付されないため、前科が事業者に伝わらない仕組みです。

訂正請求をせずに2週間が経過した場合は、事業者に交付されます。

なお、事業者には、確認で得た情報を適切に管理することも義務付けられており、みだりに他人に伝えた場合には刑事罰の対象となります※。

プライバシー保護にも配慮された仕組みです。

※参考|こども家庭庁|こども性暴力防止法の解説資料p158より

確認の対象になるのはどんな人?

先生や保育士など、こどもと常に接する職種は一律で確認の対象です。
送迎バスの運転手や事務職員、調理員などは、業務内容によって対象になるかどうかが判断されます※1。

目安は、こどもと継続的に、第三者の目が届きにくい状況で接する可能性があるかどうかです。

正社員に限らず、派遣の人や短期の働き手、ボランティアも、対象となる業務に就く場合は確認の対象となりますので、注意しましょう。すでに働いている人(現職者)も確認が必要で、義務の対象となる事業者では、法律の施行から3年以内に行うこととされています。

また、一度確認を受けた人も、その後5年ごとに再確認が必要です※2。

※1参考|こども家庭庁|こども性暴力防止法について(国民向けリーフレット)
※2参考|こども家庭庁|こども性暴力防止法の解説資料P20より

どんな施設・職種が対象になる?【義務と認定の違い】

※詳細は別記事(対象施設について)で解説するため、ここでは概要にとどめます。
👉アップ後に3記事目をリンク

取り組みが「義務」となる事業者(学校・認可保育所など)

学校や認可保育所など、法律で取り組みが義務付けられている事業者があります。
こうした事業者は、安全確保措置や犯罪事実確認を必ず行わなければなりません。

  • 学校(幼稚園、小・中・高校、特別支援学校など)
  • 認可保育所、認定こども園、児童養護施設、放課後等デイサービス(指定を受けた事業所)など

国の認定を受けて取り組む事業者(認定は任意)と「こまもろうマーク」

一方で、民間の教育・保育サービスは、国の認定を受けるかどうかが事業者の任意です。
ただし、認定を受けた事業者は、義務の対象となる事業者と同様の取り組み(犯罪事実確認を含む)を行う必要があります。

  • 認可外保育施設、放課後児童クラブ(学童)など
  • 学習塾、スポーツクラブなどの民間教育事業(一定の要件を満たすもの)

認定は事業ごとに、事業者がこども家庭庁へ申請。
認定を受けた事業者は、こども家庭庁のウェブサイトで公表されます。

あわせて「こまもろうマーク」を表示できるようになるので、保護者の方はぜひ覚えておいてください。

マークは2種類あり、学習塾などで国の認定を受けた事業者が使う「認定事業者マーク」と、学校や認可保育所など義務の対象となる事業者が使う「法定事業者マーク」です。

施設の入り口やウェブサイト、パンフレットなどに掲示でき、保護者が習い事などを選ぶ際の「安心の目印」として機能することが期待されています。

なぜ今まで制度化できなかったの?(これまでの課題)

こどもを守る権利と、職業選択の自由・プライバシーとのバランス

「こどもの安全を守ること」は最優先されるべき課題ですが、制度化にあたっては、慎重な検討が重ねられてきました。

・過去に過ちを犯した人でも、罪を償って更生しようとしている人の働く場を永久に奪ってよいのか。
・犯罪歴というきわめて機微な個人情報を、国がどこまで管理し事業者に提供してよいのか。

さまざまな視点から、これまで有識者による検討が重ねられてきました。

今回の法律は、「性犯罪」に特化し、確認の対象になる期間に区切りを設け、本人への事前通知といった仕組みを組み込むことで、こどもの安全と人権への配慮の両立を図った、日本独自の仕組みと言えます。

こども性暴力防止法はいつから?施行日は2026年12月25日

※詳細は別記事(施行日について)で解説するため、ここでは概要にとどめます。
👉2記事目をリンク

この法律は、2026年12月25日に施行されます。

現在は、法律がスタートするまでの「準備期間」です。
国は詳細なルール作りやオンラインシステムの構築を進めており、義務の対象となる各事業者も、就業規則の見直しや職員への周知、相談窓口の整備、研修の準備など、こどもを守るための準備を進めています。

保護者向けのリーフレットは、こども家庭庁のこちらのページからご覧いただけます。

保護者として知っておきたいこと

この法律によって、事業者には、日頃からこどもが相談しやすい体制をつくること、従事者への研修を行うこと、性暴力が疑われる場合には調査とこどもの保護を行うことなどが求められます。

そのため保護者として、次のような点を知っておくと安心です。

  • 学校や認可保育所などは、法律で取り組みが義務付けられています。
  • 学習塾やスポーツクラブなどは、国の認定を受けているかどうかをこども家庭庁のウェブサイトで確認できます。「こまもろうマーク」も目安になります。
  • 認定は事業者の任意のため、マークがないからといって、取り組みをしていないとは限りません。気になる場合は、通っている教室や施設に、どのような取り組みをしているか尋ねてみるのも一つの方法です。
  • こども家庭庁は、保護者向けのリーフレット「こどものためにできること」も公開しています。

まとめ|こどもたちが安心して過ごせる環境へ

こども性暴力防止法(日本版DBS)は、こどもと接する仕事に就く人の性犯罪の前科を確認し、必要な措置を取ることで、性暴力を未然に防ぐための新しい仕組みです。

2026年12月25日の施行に向けて、社会全体でこどもを守る仕組みづくりが動き出しています。

保護者としても、今後の動向に関心を持ち、習い事などを選ぶ際には、認定事業者の公表情報や「こまもろうマーク」も参考にしていくことが、こどもたちの安全な未来へとつながりますね!

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Posted by CP-SAD