NEXTGIGAスクール構想とは?GIGAスクール構想との違いは?課題や取り組みについて簡単に解説!
この記事ではNEXTGIGAスクール構想について解説しています。
誰一人取りこぼすことのない教育を目指すGIGAスクール構想が開始され、教育現場における「1人1台端末」がほぼ達成されました。
これにより教育のICT化が進み、生徒一人ひとりの学習段階に合わせたきめの細かい指導が可能となりました。
一方で、ICTに対する理解不足や現役の先生方の負担増、端末の故障など、多くの課題が残されています。
そんな中、GIGAスクール構想は次のステージへと向かっており、早い自治体では2024年度からICT環境が更新され、NEXTGIGAスクール構想が開始される予定です。
そこで今回はNEXTGIGAスクール構想について解説します。
GIGAスクール構想は次の段階へ

2019年に文部科学省から発表されたGIGAスクール構想。
以降「1人1台端末」や「校内ネットワーク環境の充実」が急ピッチで進められました。
その結果、令和4年度内にはほぼ全ての自治体で整備が完了し、ICT環境を利用した教育が徐々に浸透しつつあります。
そして今後はNEXTGIGAスクールと呼ばれる次の段階へ突入し、教育現場は新たな局面を迎えることになりました。
GIGAスクール構想とは?
とはいえ「GIGAスクール構想って何?」という方もおられると思います。
GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All(全ての人にグローバルで革新的な入口を)」を意味し、GIGAスクール構想とはICTを活用した、新しい教育環境のことです。
また「ICT」とは「Information and Communication Technology」の頭文字をとったもので、日本語では「情報通信技術」と訳されています。
つまりタブレットやパソコンなどのデジタル端末を活用しながら、インターネットを介して学習支援を行う施策が「GIGAスクール構想」です。
併せてお読みいただくとより理解が深まります。
NEXTGIGAスクール構想は何が違う?
では、GIGAスクール構想とNEXTGIGAスクール構想では何が違うのでしょうか。
端的に言うと、NEXTGIGAスクール構想とはGIGAスクール構想における「ICT環境の更新」を意味しNEXTGIGAの他に「アフターGIGA」とも呼ばれます。
GIGAスクール構想開始からおよそ5年が経過した現在、ICT環境は全国的に普及しました。
そのため文部科学省は、令和5年度から6年度をGIGAスクール構想の集中推進期間と位置付け、支援を強化する方針を決定しています※。
※文部科学省|令和6年度概算要求のポイント|GIGAスクール運営⽀援センター整備事業p12
これにより、自治体によっては2024年度から端末の更新に着手し、
準備に取り掛かかる計画が行われています。
端末更新予算は政府が支出
NEXTGIGAスクール構想は国策として実施されています。
そのため、端末更新は国の補助金で賄われており、公立学校の端末整備にとして2,643億円、国私立学校及び日本人学校にも18億円の補正予算が新たに計上されました。
また、今後は5年程度ごとに端末更新が実施され、教育現場におけるICT化が加速度的に進むことが予想されます。
株式会社MM総研の調査によれば※、全国の自治体の9割が、2025年ごろに実施されるNEXTGIGAの端末更新の予算を、政府によるものと想定しているとのことです。
そのため、今後はこれまで以上に、国と自治体の緊密な連携が求められるでしょう。
※こどもとIT|NEXT GIGAの端末更新、9割の自治体が政府予算を想定、MM総研調べ
NEXTGIGAスクール構想における各社の取り組み

端末更新にあたり、OSを提供する各社にも動きが見られます。
ここではMicrosoftやGoogle、Appleがどのような取り組みを計画しているのか見てみましょう。
Microsoft
NEXTGIGAスクール構想に備える動きとして、Microsoftでは教育市場向けのコンテンツ強化を実施しています。
たとえば、教育分野に特化したOS「Windows 11 pro Education」がその代表です。
また日本マイクロソフトは、NEXTGIGA用パソコンとして、「GIGA BasicPC」と「GIGA AdvancedPC」の2種類を発表。
アクセシビリティ機能の向上や、画面上の教科書をハイライトできる「イマーシブリーダー」機能を搭載するなど、さらなる進化を遂げています。一人ひとりに最適化されたユニバーサルデザインがMicrosoftの特徴です。
GIGAスクール構想のOS使用率において、全体の4割をシェアするGoogle。
クラウドを利用した利便性により、現在では日本の教育機関においてもっとも選ばれる端末となりました。
NEXTGIGAスクール構想では、2022年11月に発表した「Google for Education教育DXパッケージ」を今後も広げる方針を固めました。
さらに、日本語特有の縦書きにも対応する「Googleスライド用縦書きテスト」を実装し、日本の教育現場における更なる利便性の向上も計画しているそうです。
先生用としても校務の簡略化が可能になるなど、現場の要望に合わせた素早いサービスが充実しています。
Apple
Apple製品は高価なイメージがありますが、じつはGIGAスクール構想においては全国1810自治体のうち、500の自治体で300万台が導入されました。
主な端末は「ipad」で、直感的な操作に優れている点や、故障が少ないことが大きな魅力です。
GIGAスクール構想では各社「端末の故障」が大きな問題となりました。
しかし、Apple製品を導入した自治体では端末の故障事例が少なく、無駄な修理費が抑えられるのがメリットです。
Appleは他社端末との連携が弱いイメージがありますが、「Google Workspace」や「Microsoft Entra ID」とも連携が可能なため、他社製品との互換性においても問題なく利用できます。
さらにipadは残存価値が他社に比べて高く、残価設定型のリースプログラムが適応されることから、比較的予算を抑えられるのも選ばれる理由です※。
※Apple|Apple Financial Services
NEXTGIGAスクール構想における課題は?

ICT教育は教育現場に大きな変革をもたらしつつあるものの、まだまだ多くの課題が存在します。
GIGAスクール構想はNEXTGIGAの時代を迎えますが、
・学校
・教職員
・生徒
それぞれにおいて、解決すべき問題があるようです。
以下で簡単に紹介します。
学校及び各自治体におけるICT環境の充実
GIGAスクール構想及びNEXTGIGAスクール構想は、上述した通り日本政府が推し進める事業です。
そのため、各自治体には準備のために補助金が設定されています。
しかしそれでも、ITツールや教材が購入できない自治体や、予算不足のためICT補助員を雇用できない、そもそもICT補助員の人材不足などといった問題があります。
地方ごとに活用に差が出てしまったり、利用できる地域とそうでない地域があったりでは、ICT活用のレベルに大きな隔たりが生まれてしまいます。
そうならないためにも、修理費の削減や無駄の排除など、今後の長期的なICT環境の充実が大きな課題と言えるでしょう。
教職員は激務に追われている
小・中学校の教職員は、校務や部活動の顧問など毎日激務に追われています。
そのような状況の中で、ICTを理解するのは困難なことです。
確かにICT端末の活用により、学習データや成績の管理など、業務の効率は多少改善されたものの、教職員の働き方が大きく前進したとは言えません。
今後は校務DXやダッシュボードを活用しながら、さらにICT化を進めつつ、負担を低減するような業務改善が必要となるでしょう。
児童・生徒はICT化を楽しんでいる
では、児童・生徒はGIGAスクール構想をどのように捉えているのでしょうか。
東京大学とベネッセ教育総合研究所が行った共同調査「子どもの ICT 利用に関する調査 2023」※を見てみると、ICT機器を利用する約8割の子どもが「楽しい」というポジティブな回答を示しています。
また7割以上の子どもが
・「学習内容がわかりやすい」
・「効率的に学習できる」
・「グループでの学習がしやすい」
など、肯定的な捉え方をしていることがわかりました。
このことから、児童・生徒にとってICT教育は有益であり、子どもたちの学習意欲の向上が期待されています。
※東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究プロジェクト|子どものICT利用に関する調査2023
GIGAスクール構想の課題の詳しい解説はこちらの記事がより参考になります。
NEXTGIGAスクール構想まとめ
今回はNEXTGIGAスクール構想について紹介しました。
大きな変化としては、端末の更新やOSのアップグレードであり、今後ますます状況は変化していくでしょう。
とはいえ、それを扱うのは子どもたちであり、現場で働く教職員の方々です。
利用するすべての人々に恩恵があるよう、ポジティブな変化を期待したいですね。
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