高校無償化の対象者や条件、注意点を簡単に解説!対象学校や手続きはいつ?支給額は?
この記事では高校無償化についてわかりやすく解説しています。
大学や短期大学などの無償化が広がる昨今、高校教育での無償化もニーズが高まりつつあります。
しかし、
「どのような手続きが必要なのか?」
「自分の子どもは対象になるのだろうか」
「条件についてイマイチわからない」
という人も少なくないのが現状です。
そこで今回は対象者や条件、さらには注意点なども併せて解説します。
必ずしも申請すれば受給できるものではないため、申請の際には注意が必要です。
高校無償化とは?

まずは簡単に本制度を解説します。
一般に「高校無償化制度」と呼ばれる本制度ですが、「高等学校等就学支援金制度」が正式名称です。
2010年から国の制度として本格的に運用され、条件を満たした場合は高校での授業料が実質無料となります。
公立高校・私立高校の区別はなく、全日制や定時制、あるいは通信制などすべての通学スタイルに適応されるのが大きな特徴です。
また奨学金のような返済義務もないため、家計に困窮するご家庭にとっては、まさに救済的な支援と言えるでしょう。
この制度の大きな目的は教育の実質的な機会均等に寄与することにあります。
そのため、必要と思われる方は積極的に活用することをオススメします。
参考|文部科学省|高校生等への修学支援|高等学校等就学支援金制度
申請には要件がある
本制度は国による制度であるため厳密な要件が定められおり、制度を受けるには一定の条件を満たす必要があります。
文部科学省が提示する受給資格要件は以下の通りです。
1、在学要件・・・日本国内に在住し、高等学校等に在学する方が対象
2、所得要件・・・世帯年収約910万円未満の生徒が対象
「2」の所得要件については、次の計算式がモデルとなっています。
保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%−市町村民税の調整控除額=30万4,200円未満※
※文部科学省|高校生等への修学支援|高等学校等就学支援金制度
なお、保護者(あるいは親権者)に規定以上の収入(所得)がある場合は、支援金が受給できず全額負担となります。
また共働きの場合は、両親の収入の合計金額が基準です。
文部科学省による年収目安のモデルケースが提示されていますので、各ご家庭の状況に鑑みて申請してください。モデルケースの目安はこちらから確認できます👉年収目安
各地方自治で独自の取り組みも
自治体によっては国の就学支援金の他に、独自の支援制度を設けている地域もあります。
東京都
東京都は2024年度から所得制限を撤廃し、都内在住のすべての世帯に対して、私立高校の実質無料化の方針を発表しました※。
※先端教育|東京都、2024年度から私立高授業料を所得に関係なく無償化
一方、埼玉県や千葉県、大阪府といった府県では次のような支援が行われています。
千葉県
千葉県では国の就学支援とは別に、県独自の政策が掲げられました。
千葉県内の高校に通う生徒を対象とし、居住地は県内・県外を問いません。
年収640万円未満の家庭が対象となり、国が定める就学支援金との差額において、授業料が無償となります。
また年収350万円未満の家庭には、最大で15万円の入学金の補助が実施されているようです。
埼玉県
埼玉県では、県が認可した私立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校(高等部及び専攻科)及び一部の高等専修学校に対し、父母負担軽減事業補助金を設置しています。
こちらは年収720万円未満(目安)の、埼玉県に在住する生徒及び保護者が対象です。
審査を通過することで、授業料・施設費等納付金や入学金が補助の対象となります。
埼玉県|令和5年度|埼玉県父母負担軽減事業補助金のお知らせ<リーフレット>
大阪府
大阪府では、国公立高等学校等授業料無償化制度を府の独自政策として打ち出しており、
令和6年度より段階的に実施。令和8年度に完成が見込まれています。
同制度では府内の府立高等学校、市立高等学校、国立高等学校、国立特別支援学校(高等部)が対象です。
また、近畿1府4県(滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県)の国立高等学校、国立中等教育学校(後期課程)、国立工業高等専門学校(本科1年生から3年生まで)、公立高等学校(全日制・定時制・通信制)も対象とされています。
このように国の支援以外にも、各自治体でさまざまな施策が取られています。
読者の方がお住まいの地域でも、このような取り組みが実施されている可能性がありますので、
必要に応じて自治体窓口へ問い合わせてみてください。
対象学校は?
上述したとおり、本制度の受給要件には全日制・定時制・通信制といった区別はありません。
基本的にはすべての学校が対象となります。
念のため、対象学校を見てみましょう。
対象学校は以下の通りです。
・高等学校(全日制、定時制、通信制) ※専攻科・別科を除く
・中等教育学校の後期課程 ※専攻科・別科を除く
・特別支援学校の高等部
・高等専門学校(1~3学年)
・専修学校(高等課程)
これらの他に、
・専修学校の一般課程および各種学校も対象となります※
※高等学校入学資格者を入所資格とする国家資格者の養成施設及び告示で指定した外国人学校を示す。
ただし、高校を卒業または修了している生徒や、高校の在学期間が36ヶ月を超えている場合は対象外です。
高校無償化の手続きについて
支援を受けるにあたり、手続きについて気になる方も多いかと思います。
原則としてこの制度を利用するには、まずは高校等に入学する必要があります。
入学後に申請を行い、所定の手続きを経て申請してください。
入学後の4月の段階で必要な書類を学校などに提出し、審査を経た後に受給となります。
また、申請を紙で行う場合は、
1、受給資格認定申請書
2、マイナンバーカードの写し(もしくはマイナンバーが記載されている住民票のコピー)
の2点が必要です。
オンライン申請も可能なので、手順や必要事項を確認しながら申請してください。
オンライン申請システムについてはこちらから閲覧できます。
文部科学省|高校生等への修学支援|高等学校等就学支援金オンライン申請システム e-Shien
一度申請に落ちても次年度再度申請できる
入学時に申請したとしても、要件に満たない場合はこの制度は利用できません。
そのため「1度審査に落ちたら再度申請できないのでは?」と不安に思う方もいると思います。
でも安心してください。
この制度では年度ごとに収入状況の確認が行われるため、一度審査に落ちても、次年度に再び申請が可能です。
高校1年生は4月と7月の2度、
2・3年生は7月に1度、収入状況の確認が行われます。
また高校入学時に対象外であったとしても、入学後に家計の急激な変化や収入の減少があった場合は、申請することで受給できます。
そのため受給が必要となる状況に陥った場合は、通っている高校等に必ず申し出るようにしてください。
支給額について
高校無償化の支給額については、上述した計算方式に基づき算出されます。
また令和2年4月から「私立高校授業料実質無料化」が本格的にスタートしました。
公立高校に通う場合とは受給額が異なるため、私立高校への進学を考えている方は、申請の際には別途確認してみてください。
私立高校の場合は、世帯年収が590万円未満であれば受給限度額が支給され、実質授業料が無償となります(例外もアリ)。私立高校授業料無料化については、こちらを参考にして確認してください※。
※文部科学省|令和2年4月から私立高校授業料実質無料がスタート
高校無償化における注意点

教育機会の均一化を図る上で、本制度は重要な取り組みです。
そのため、受給が必要と思われる生徒さんや親御さんは必ず申請するようにしてください。
しかし申請にあたり、いくつかの注意点もあります。
ここでは忘れてはならない注意事項を解説します。
注意点1、全てが無償になるわけではない
ここまで本制度にかかわる必要事項について紹介してきました。
基本的な要件は上記の通りですが、申請を行う場合は、通う予定の(または現在通っている)高校に必ず申し出てください。
なお高校無償化制度で対象となるのは、あくまでも授業料のみです。
一番重要なのでもう一度言いますが、授業料のみが無償となります。
そのため例えば、
・入学金
・教科書代
・教材費
・設備費
・通学定期代金
・修学旅行費
などの諸経費は免除されませんので、注意が必要です。
これらの費用は学校によって異なっており、必要となる金額はさまざまです。
注意点2、申請してもすぐに受給できない
本制度は「入学後に」申請する制度です。
そのため、事前に受給することはできません。
申請が通過するまでの期間は支援を受けられないため、最初に必要となる授業料は一旦自己負担する必要があります。
しかし審査を通過した場合、自己負担した授業料はその年の7月以降に順次返金されます。
注意点3、上限を超える授業料の差額は払う必要がある
世帯年収が590万円未満の場合は、基本的に限度額まで受給できます。
しかしなかには、授業料が平均よりも高い私立学校に通われる方もいるかもしれません。
その場合、受給限度額を超える授業料の差額分は自己負担となります。
一方、授業料が平均よりも低い私立学校の場合、授業料を上回った分のお金は受け取れませんので十分注意してください。
高校無償化以外の支援制度も検討してみる
我が国にはすべての生徒が等しく教育を受けられよう、無償化以外にもさまざまな制度があります。
無償化の申請が受理されない場合や、家計が急変した場合は、以下の救済措置も検討してみてください。
・生活保護受給世帯で国立・公立高校に在籍する生徒がいる場合、年額3万2,300円。
私立高校に在籍する生徒へは年額5万2,000円。
・非課税世帯【全日制等】(第一子)で、国立・公立高校に在籍する生徒がいる場合は年額11万7,100円、
私立高校の場合は年額13万7,600円支給など。
詳しくは「高校生等奨学給付金のお問い合わせ」から確認できます。
各自治体ごとに窓口が設置されていますので、お住まいの自治体に問い合わせてください。
リンクはこちら↓
文部科学省|高校生等への修学支援|高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧
高校無償化まとめ
大学教育無償化に続き、高校無償化について解説しました。
申請の際には、要件や必要書類等を十分に確認して行ってください。
この記事を読まれている方の中には、大学等への進学も検討されている方もいるかもしれません。
大学教育無償化についてはこちらをご参照いただければ幸いです。
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