GIGAスクール構想OS・端末は使えない?シェア率や今後の課題について簡単に解説!
今回はGIGAスクール構想のOS・端末について簡単解説です。
教育現場におけるICT化が進む昨今、
児童生徒たちの教育環境は日々変化し、
一人ひとりに最適な学習環境が提供され始めています。
2021年8月の時点で、全国の公立小中学校の96%でGIGAスクール構想の導入が完了している一方、
使用OSについてはあまり議論されていないのが現状です。
そこで本記事ではGIGAスクール構想におけるOSの現状と、
今後の課題についてわかりやすく解説しますので、
こちらの記事と合わせてご一読ください。
GIGAスクール構想でのOS・端末シェアについて

読者の方の中には「そもそもOSって何?」という方もいるかもしれません。
そのような方のために「OS」について簡単に説明します。
「OS」とはOperating Systemの頭文字をとった略語で、
コンピュータの操作や運転、アプリ、周辺機器を使えるようにするためのソフトのことです。
たとえば「Windows」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、
これはマイクロソフト社が開発したOSソフトを意味します。
シェアはChromeOSがトップ
では実際に児童生徒たちはどのようなOSを使っているのでしょうか。
2021年1月から2023年5月にかけて、MM総研が全国1741の自治体を対象に調査を行ったところ、
全国の小中学校で使用されているOSシェアの1位はGoogleが開発したChromeOS(クロームOS)で、
全体に占める割合の42%という結果となりました※。
2位はマイクロソフトのWindowsで29%、3位はAppleOSでマイクロソフトと同様29%となり、
現在のGIGAスクール構想においてはGoogleが優勢と言えるでしょう。
※|株式会社MM総研|教育ICT市場で外資ベンダーが存在感を示す
次にChromeOSについて見てみましょう。
ChromeOSのメリットは?
ChromeOSとはGoogle社が開発したOSのことですが、
しかしなぜ多くの自治体がChromeOSを採用しているのでしょうか。
その大きな要因は、余計な機能を取り除いたシンプルな設計にあります。
パソコンを購入した場合、通常はさまざまな機能が内蔵されていますが、
ChromeOSはそれらが取り除かれており、クラウド上での操作が主となります。
そのため、パソコンのスペック(処理能力)が最小限で済み、
安価で作業できるのが大きなメリットです。
またChromeOSの特徴として、以下のものが挙げられます。
1、起動が速い
2、ChromeOSは無料で使える
3、クラウドに保存するので端末の負担が軽減される
4、Googleのアプリが利用可能
一方で以下のようなデメリットがあります。
1、オフラインでの作業も可能だが、基本的にネット環境が必要
2、ワードやエクセルといった一般的なソフトと互換性が低い
3、使えるプリンターが限られている
GIGAスクール構想のOS・端末は使えない?
以上により、GIGAスクール構想においてはChromeOSがトップシェアを獲得しましたが、
一方で「スペックに不満」という声も上がっているようです。
そこで文部科学省が設定したGIGAスクール構想における、
OS環境整備について(モデル)見てみましょう。
文部科学省は学習者用使用端末の基準として、
以下の項目を挙げています。そのいくつかを紹介します。
・十分な通信ネットワークとクラウド活用の下でのブラウザベースでの活用が大前提
・米国の300ドルパソコンを念頭に、大量調達実現を含めて、5万円程度の価格帯
・デジタル教科書・教材等の操作性向上に資するタッチパネル・ハードウェアキーボード、QRコード読み込みを想定したインカメラ/アウトカメラを共通仕様に
引用|文部科学省|GIGAスクール構想の実現パッケージp2より抜粋
また、校内におけるLAN整備の標準仕様には以下の基準が設けられています。
・工事が必要となるケーブルはカテゴリー6A以上対応
・ハブやルータ、スイッチ類は、将来の市場展開に応じた容易な更新を可能とすることを念頭に、1Gbpsの普及モデル
・クラウド活用はもとより、大容量の動画視聴やオンラインテストをストレスなく行えること
引用|文部科学省|GIGAスクール構想の実現パッケージp2より抜粋
さらに使用する端末には、マイクロソフトのWindows、
ChromeOSの双方ともに2016年8月以降のモデルを推奨しているため、
日常的に使用するスペックとして問題ないと考えられます。
しかし自治体により整備環境が異なるため、
場合によってはスムーズに利用できない地域もあるのことも想定されます。
スペックについては教育委員会の9割が「十分」と回答
GIGAスクール構想におけるパソコン及びタブレットの仕様スペックについて、
前出のMM総研が行った調査を見てみましょう。
MM総研が各自治体の教育委員会に行った調査によれば、
調査対象1135自治体のうち92%が「十分に備えている」「備えている」と回答しました※。
「備えていない」と回答した残りの8%については、
ユーザーインターフェイス(UI)やタッチペンなど付属機器に関する課題が報告されています。
スペックの面以外にも、端末モデルとして
・外部接続端子1つ以上
・8時間以上のバッテリー持続
・タッチパネル
・カメラ付き
などが推奨されており、端末としても問題なく仕様可能と言えるでしょう。
※IT media NEWS|“生徒1人に1台”配布のGIGAスクールPC、スペックに不満は? 教育委員会の9割が「十分」 MM総研調査
GIGAスクール構想OS・端末、今後の課題は?

多くの自治体が、OSや端末について概ね高評価をつけていることがわかりました。
しかし現段階でまったく課題がないかというと、必ずしもそうも言い切れません。
以下では今後の課題について紹介します。
ChromeOSはシェア率が低い
GIGAスクール構想で仕様されるOSの42%がChromeOSであると解説しました。
しかし、大学や企業で仕様されるOSの大半はマイクロソフトのWindowsです。
StatCounter社のデータを見てみると、2023年11月における、世界のPCのOSシェア率は、
Windowsが69.02%、Apple iOSが21.01%であるのに対し、
ChromeOSは3.71%と少数にとどまっています※。
そのためGIGAスクール構想においてChromeOSに慣れてしまうと、
大学や企業に入ったときに改めてWindowsを学ぶ必要に迫られ、
児童生徒にとっては2度手間になることが懸念されます。
こうした事態を防ぐためにも1つのOSだけではなく、
複数のOSを使いこなせるよう段階的な教育が必要とされるかもしれません。
※StatCounter社|Desktop Operating System Market Share Worldwide
時代の流れが変わる可能性も
とはいえ、この構図が永続的に続くかどうかは分からないもの。
多くの児童生徒たちがChromeOSに使い慣れれば、
将来的なシェアの変化も十分に考えられます。
たとえば、PCのOSシェア以外のデータを見てみましょう。
PCやタブレット、スマートフォンの全てのOSシェア率を見てみると、
1位・・・Androidで38.33%
2位・・・Windowsで30.61%
3位・・・Apple iOSで16.55%
というデータがあります※(2023年11月現在)。
AndroidもGoogleが提供するOSであるため、
将来的にChromeOSと連携しつつ、
業務用にも応用されることも十分に考えられます。
※StatCounter社|Operating System Market Share Worldwide
GIGAスクール構想OS・端末まとめ、今後は「NEXTGIGA」も
今回はGIGAスクール構想で使用されるOSについて簡単に解説しました。
全体としてChromeOSが優勢のようですが、
実社会との隔たりが問題としてあるようです。
しかし、GIGAスクール構想がこのまま進めば、
その構図も大きく変わる可能性があります。
まだChromeOSに触れたことががない方は、
この記事を機会に新たに利用してみるのも良いかもしれません。
さらに今後の展望として、
GIGAスクール構想の先をゆく「NEXT GIGA」構想も予定されています。
今後の記事で解説を予定していますので、
アップまでしばらくお待ちください。
「GIGAスクール構想」についての解説はこちらから!
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