GIGAスクール構想OS・端末は使えない?シェア率や今後の課題について簡単に解説!

2024-09-09

今回はGIGAスクール構想のOS・端末について簡単解説です。

教育現場におけるICT化が進む昨今、
児童生徒たちの教育環境は日々変化し、
一人ひとりに最適な学習環境が提供され始めています。

2021年8月の時点で、全国の公立小中学校の96%でGIGAスクール構想の導入が完了している一方、
使用OSについてはあまり議論されていないのが現状です。

そこで本記事ではGIGAスクール構想におけるOSの現状と、
今後の課題についてわかりやすく解説しますので、
こちらの記事と合わせてご一読ください。

GIGAスクール構想でのOS・端末シェアについて

GIGAスクールOS


読者の方の中には「そもそもOSって何?」という方もいるかもしれません。
そのような方のために「OS」について簡単に説明します。

「OS」とはOperating Systemの頭文字をとった略語で、
コンピュータの操作や運転、アプリ、周辺機器を使えるようにするためのソフトのことです。

たとえば「Windows」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、
これはマイクロソフト社が開発したOSソフトを意味します。

シェアはChromeOSがトップ

では実際に児童生徒たちはどのようなOSを使っているのでしょうか。
2021年1月から2023年5月にかけて、MM総研が全国1741の自治体を対象に調査を行ったところ、
全国の小中学校で使用されているOSシェアの1位はGoogleが開発したChromeOS(クロームOS)で、
全体に占める割合の42%という結果となりました※。

2位はマイクロソフトのWindowsで29%、3位はAppleOSでマイクロソフトと同様29%となり、
現在のGIGAスクール構想においてはGoogleが優勢と言えるでしょう。

※|株式会社MM総研|教育ICT市場で外資ベンダーが存在感を示す

次にChromeOSについて見てみましょう。

ChromeOSのメリットは?

ChromeOSとはGoogle社が開発したOSのことですが、
しかしなぜ多くの自治体がChromeOSを採用しているのでしょうか。

その大きな要因は、余計な機能を取り除いたシンプルな設計にあります。
パソコンを購入した場合、通常はさまざまな機能が内蔵されていますが、
ChromeOSはそれらが取り除かれており、クラウド上での操作が主となります。

そのため、パソコンのスペック(処理能力)が最小限で済み、
安価で作業できるのが大きなメリットです。

またChromeOSの特徴として、以下のものが挙げられます。

1、起動が速い

2、ChromeOSは無料で使える

3、クラウドに保存するので端末の負担が軽減される

4、Googleのアプリが利用可能

一方で以下のようなデメリットがあります。

1、オフラインでの作業も可能だが、基本的にネット環境が必要

2、ワードやエクセルといった一般的なソフトと互換性が低い

3、使えるプリンターが限られている

GIGAスクール構想のOS・端末は使えない?

以上により、GIGAスクール構想においてはChromeOSがトップシェアを獲得しましたが、
一方で「スペックに不満」という声も上がっているようです。

そこで文部科学省が設定したGIGAスクール構想における、
OS環境整備について(モデル)見てみましょう。

文部科学省は学習者用使用端末の基準として、
以下の項目を挙げています。そのいくつかを紹介します。

・十分な通信ネットワークとクラウド活用の下でのブラウザベースでの活用が大前提

・米国の300ドルパソコンを念頭に、大量調達実現を含めて、5万円程度の価格帯

・デジタル教科書・教材等の操作性向上に資するタッチパネル・ハードウェアキーボード、QRコード読み込みを想定したインカメラ/アウトカメラを共通仕様に

引用|文部科学省|GIGAスクール構想の実現パッケージp2より抜粋

また、校内におけるLAN整備の標準仕様には以下の基準が設けられています。

・工事が必要となるケーブルはカテゴリー6A以上対応

・ハブやルータ、スイッチ類は、将来の市場展開に応じた容易な更新を可能とすることを念頭に、1Gbpsの普及モデル

・クラウド活用はもとより、大容量の動画視聴やオンラインテストをストレスなく行えること

引用|文部科学省|GIGAスクール構想の実現パッケージp2より抜粋

さらに使用する端末には、マイクロソフトのWindows、
ChromeOSの双方ともに2016年8月以降のモデルを推奨しているため、
日常的に使用するスペックとして問題ないと考えられます。

しかし自治体により整備環境が異なるため、
場合によってはスムーズに利用できない地域もあるのことも想定されます。

スペックについては教育委員会の9割が「十分」と回答

GIGAスクール構想におけるパソコン及びタブレットの仕様スペックについて、
前出のMM総研が行った調査を見てみましょう。

MM総研が各自治体の教育委員会に行った調査によれば、
調査対象1135自治体のうち92%が「十分に備えている」「備えている」と回答しました※。

「備えていない」と回答した残りの8%については、
ユーザーインターフェイス(UI)やタッチペンなど付属機器に関する課題が報告されています。

スペックの面以外にも、端末モデルとして
・外部接続端子1つ以上
・8時間以上のバッテリー持続
・タッチパネル
・カメラ付き

などが推奨されており、端末としても問題なく仕様可能と言えるでしょう。

※IT media NEWS|“生徒1人に1台”配布のGIGAスクールPC、スペックに不満は? 教育委員会の9割が「十分」 MM総研調査

GIGAスクール構想OS・端末、今後の課題は?

GIGAスクールOS

多くの自治体が、OSや端末について概ね高評価をつけていることがわかりました。
しかし現段階でまったく課題がないかというと、必ずしもそうも言い切れません。

以下では今後の課題について紹介します。

ChromeOSはシェア率が低い

GIGAスクール構想で仕様されるOSの42%がChromeOSであると解説しました。
しかし、大学や企業で仕様されるOSの大半はマイクロソフトのWindowsです。

StatCounter社のデータを見てみると、2023年11月における、世界のPCのOSシェア率は、
Windowsが69.02%、Apple iOSが21.01%であるのに対し、
ChromeOSは3.71%と少数にとどまっています※。

そのためGIGAスクール構想においてChromeOSに慣れてしまうと、
大学や企業に入ったときに改めてWindowsを学ぶ必要に迫られ、
児童生徒にとっては2度手間になることが懸念されます。

こうした事態を防ぐためにも1つのOSだけではなく、
複数のOSを使いこなせるよう段階的な教育が必要とされるかもしれません。

※StatCounter社|Desktop Operating System Market Share Worldwide

時代の流れが変わる可能性も

とはいえ、この構図が永続的に続くかどうかは分からないもの。
多くの児童生徒たちがChromeOSに使い慣れれば、
将来的なシェアの変化も十分に考えられます。

たとえば、PCのOSシェア以外のデータを見てみましょう。
PCやタブレット、スマートフォンの全てのOSシェア率を見てみると、

1位・・・Androidで38.33%
2位・・・Windowsで30.61%
3位・・・Apple iOSで16.55%

というデータがあります※(2023年11月現在)。
AndroidもGoogleが提供するOSであるため、
将来的にChromeOSと連携しつつ、
業務用にも応用されることも十分に考えられます。

※StatCounter社|Operating System Market Share Worldwide

GIGAスクール構想OS・端末まとめ、今後は「NEXTGIGA」も

今回はGIGAスクール構想で使用されるOSについて簡単に解説しました。

全体としてChromeOSが優勢のようですが、
実社会との隔たりが問題としてあるようです。

しかし、GIGAスクール構想がこのまま進めば、
その構図も大きく変わる可能性があります。

まだChromeOSに触れたことががない方は、
この記事を機会に新たに利用してみるのも良いかもしれません。

さらに今後の展望として、
GIGAスクール構想の先をゆく「NEXT GIGA」構想も予定されています。
今後の記事で解説を予定していますので、
アップまでしばらくお待ちください。

「GIGAスクール構想」についての解説はこちらから!