こども基本法を簡単に解説!基本的政策、目的や理念は?企業や事業主の役割とは?

2024-09-09

この記事ではこども基本法について紹介します。
令和4年6月に国会で成立し、令和5年4月から施行

された「こども基本法」。

ニュースなどでたびたび取り上げらているため、話題となることもありますが、
「どういった取り組みなのか」「これはまでと何が違うのか」など、
その詳細についてはよくご存じない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、こども基本法の概略や目的や理念、
さらには、企業や事業主の取り組みについて簡単に紹介します。

この記事が、こどもの権利や安全、そして安心な将来を作るきっかけになれば幸いです。

その他、教育関連に関心のある方はコチラ(教育機会確保法関連)や、
コチラ(教育メタバース関連)も併せてお読みくださると、知識の幅が広がります。

こども基本法について

散歩

法律の話となると身構えてしまう方が多いのではないでしょうか。
そのため、この記事では概略をわかりやすく、簡単に紹介ます。

まずは「こども基本法とはどういった取り組みなのか」を見てみましょう。

基本的政策について

こども基本法とは、こどもに対するあらゆる施策を、
社会全体が一丸となって実施するために定められて法律
です※。
こどもの権利を総括的に保障し、それぞれの状況に応じて社会で幸福に生活していくための法律でもあります。

2022年(令和4年)年6月15日に国会において可決・成立し、
2023年(令和5年)の4月1日から施行されました。

国連において子どもの権利条約が採択されたのが1990年。
遅れて1994年に日本も批准したものの、そこからおよそ30年間にわたり、
日本における「こども基本法」の制定は実施されてきませんでした。

その間、児童虐待相談や不登校問題は増え続ける一方であり※、
ここにきてようやく具体的な政策が施行されたと言えます。

※こども家庭庁|令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)

こうした状況を踏まえ、こども基本法の基本的政策には、以下の5つが挙げられています※。


・施策に対するこども・子育て当事者等の意見の反映
・ 支援の総合的・一体的提供の体制整備
・ 関係者相互の有機的な連携の確保
・ この法律・児童の権利に関する条約の周知
・ こども大綱による施策の充実及び財政上の措置等

引用:内閣官房|こども基本法の概要|基本的政策

暴力や搾取などの犠牲となるこどもを根絶し、自分らしく幸せな選択ができる社会を目指すことも、こども基本法における重要事項として考慮されています。

※こども家庭庁|こども基本法概要

こども基本法の目的は?

もう少し具体的に紹介します。
こども基本法が成立する以前も、「児童福祉法」や「母子家庭法」、「児童虐待防止法」など、
こどもを守る上で、個別の法律が定められてきました。

ところが、これらの法律は「こどもの権利そのものを保障する」ものではなく、
こどもが主体となるものではありません。

こうしたことから、「すべてのこどもや若者が将来に希望を持って幸せな生活を実現する社会を目指すこと」が、こども基本法の最大の目的です。

また、こどもの権利が十分に確保されていない状態では、
「こどもを生み、育てたい」と考える若者に対する不安材料にもなりかねません。

そのため、こども基本法の制定はにより、こどもの権利がきちんと確保されることは、
少子化問題を解決するための重要な解決法としても期待されています。

こどもの基本法の6つの理念について

こども家庭庁は、こども基本法において「6つの理念」※を掲げています。
以下、補足を踏まえつつ紹介します。

こども基本法6つの理念

1、すべてのこどもは大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと。
👉個人として尊重され、基本的人権の保障や差別的な扱いがないこと

2、すべてのこどもは、大事に育てられ、 生活が守られ、愛され、保護される権利が守られ、 平等に教育を受けられること。
👉安心・安全な環境で生活し、健やかな成長と発達がなされること。適切な教育を受け、将来的に自立がはかられること。

3、年齢や発達の程度により、 自分に直接関係することに意見を言えたり、 社会のさまざまな活動に参加できること。
👉こどもという理由で意見や考えを受け入れてもらえない状況がないこと。
どの意見でも、発達や年齢の成熟度に応じて尊重され、十分考慮された上でこどもの利益が優先されること。

4、すべてのこどもは年齢や発達の程度に応じて、 意見が尊重され、こどもの今とこれからにとって 最もよいことが優先して考えられること。
👉3に同じ

5、子育ては家庭を基本としながら、 そのサポートが十分に行われ、家庭で育つことが 難しいこどもも、家庭と同様の環境が確保されること。
👉こそだては基本的に(あくまでも基本的に)家庭で行われるものです。しかし状況により実現できない場合でも、養育者に十分に行き届いた支援が行われる。家庭で育てられない場合でも、可能なかぎり養育・教育環境を確保する必要がある。

6、家庭や子育てに夢を持ち、 喜びを感じられる社会をつくること。
👉将来的に自立し、子育てや家庭に夢を持ち、家庭を持つことが喜びであると感じられるような社会を目指す。


これら「6つの理念」のうち1〜4番は、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」が元となっています。

「児童の権利に関する条約」の4原則は以下のとおりです。

1、差別の禁止

2、生命、生存および発達に対する権利

3、児童の意見の尊重

4、児童の最善の利益

※こども家庭庁|こども基本法概要

こども基本法の取り組みについて

父と子

こどもが心身ともに健やかに育ち、
社会で安心して暮らすことを目的としたこども基本法。

基本的人権を尊重し、自由で幸せな暮らしを支える法律であることは、
ご理解いただけたと思います。

その一方で、現在悩みを抱える親御さんや養育者の方には、
どのようなサポートが実施されているのでしょうか。

その施策としては、以下の3つがサポートの柱となっています。
1、教育施策・・・国民全体の教育の振興👉誰一人として取りこぼさない教育の実施。
例)GIGAスクール構想適応指導教室教育メタバースの実施など

2、医療施策・・・小児科医療を含む医療を充実させ、十分に提供する。

3、雇用施策・・・雇用環境の整備・確保、若年層の就労支援など
例)EAPやストレス・チェック制度の充実など

また、本論の趣旨とそれますが、
子育てや児童相談、生活や介護などでお困りの方のために、
各自治体において相談窓口が設置されています※。
こうしたことも、こども基本法に関連する取り組みですので、
必要な方は迷わず利用してください。

※こども家庭庁|障害福祉等のサービスについて(問い合わせ先一覧です)。

企業や事業主の努力も求められている

こども基本法においては、国や地方公共団体による施策が責務とされています。

それと同時に、事業主の責務も重要であることを忘れてなりません。
国や地方公共団体が統括的な施策を実施する一方で、
事業主もまた、労働者の職業生活や家庭生活の充実を図ることが責務とされています。

これについて、こども基本法第六条で定められた定義は以下の通りです。

事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者の職業生活及び家庭生活の充実
が図られるよう、必要な雇用環境の整備に努めるものとする。

引用:内閣官房こども家庭庁設立準備室|こども基本法説明資料より

このように、国は事業主に対して仕事と家庭の両立といった、
雇用環境の整備に対する努力義務を課しています。

また、国民に対しても、こども基本法の施策に関する理解や、
関心を深める等の努力義務が課せられていることも覚えておきましょう。

こども基本法まとめ

今回は、こども基本法について簡単に紹介しました。
令和5年度に施行された新しい法律であるため、
関連制度や施設の充実は、時間がかかるかもしれません。

しかし、現在でも国や各地方自治体では、
子どもの教育や生活環境をサポートする取り組みがさまざま行われています。

今後も国民一人ひとりが、こどもの権利や基本的人権により配慮しながら、
社会全体がウィルビーイングな方向に向かうことが望まれます。

こども基本法について、詳しく知りたい方は、
こども家庭庁によるパンフレットを見てみると良いかもしれません。
パンフレットはコチラ

↑youtube動画でも知ることができます。