父性と母性が育児や家庭関係に与える影響をわかりやすく解説!

近年、子育てや家庭環境において「父性」と「母性」のバランスが注目されています。
共働き家庭の増加や家族形態の多様化が進む現代では、
父親も母親も育児に積極的に参加することが求められる時代となりました。

とくに日本では、少子化対策や働き方改革の文脈で、両親の育児参加の重要性が強調されています。
2021年の調査※によると、父親の育児参加時間は増加傾向にあるものの、
依然として国際的な水準と比較すると低い状態が続いています。

このような状況を改善するためにも、父性と母性それぞれの役割を理解し、
両者のバランスを取ることが重要です。

この記事では、両者の役割や相互作用を解説しながら、
実生活で活用できるヒントをお伝えします。

※総務省|令和3年社会生活基本調査|生活時間及び生活行動に関する結果p1

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父性と母性の基本的な定義とその背景

こども

まずは父性と母性についての基本的な定義と、歴史的・文化的な流れについて振り返ってみましょう。

現代における父性と母性の解釈

父性と母性は、必ずしも性別に依存した概念ではありません
というのも、それぞれが持つ特徴的な役割は、
文化的背景や歴史的文脈によって異なるためです。

たとえば、父性は、子どもに対して挑戦を促し、
規律や社会的なルールを教える役割を担います。

また、論理的思考や問題解決能力の育成にも、父性は重要な影響を及ぼしています。
父性的な関わりを通じて、子どもは社会との接点を見出し、
リスクテイキングや自立心を育てる傾向にあるわけです。

一方、母性は子どもに安心感や愛情を提供し、感情面での支えと共感を与えることが役割。
母性的な関わりによって、子どもは基本的な信頼関係を築き、情緒的な安定性を獲得していきます。

歴史的変遷と文化的差異

父性と母性の概念は、時代とともに大きく変化してきました。
たとえば1970年代までは、伝統的な性別役割分担が一般的でしたが、
1980年代に入ると男女平等意識が高まり始めました。

その後2000年代以降は、多様な家族形態が受容されるようになり、
現代ではジェンダーフリーな育児という考え方も広がっています。

この流れは、ある意味で社会の変化や価値観の多様化を反映したものといえるでしょう。
昔であれば「父は厳しく、母は優しく」という固定的な役割分担が一般的でしたが、
現代では両親がそれぞれの特性を活かしながら、柔軟に育児に関わることが求められています。

母親が父性を発揮し、父親が母性を発揮することや、
父親あるいは母親が父性と母性両方を発揮することもあります。

参考|性別役割分担の流れについては、総務省の男女共同参画局を参考ください。

父性と母性が育児に与える影響とは

子育て

子育てをする上で、それぞれの性質は重要な役割を担っています。
以下では子どもの発達段階に応じた影響について見てみましょう。

発達段階別の影響

子どもの発達段階によって、父性と母性の影響は異なる形で現れます。

乳幼児期(0~3歳)では、母性的な関わりを通じて基本的信頼感が形成されます。
この時期の安定した愛着関係は、その後の対人関係の基礎となります。
同時に、父性的な関わりは外界への興味を喚起し、子どもの探索行動を促進します。

幼児期(3~6歳)は、母性的な関わりを通じて感情のコントロールを学び始める時期。
また、父性的な関わりにより、社会的なルールの理解や集団での振る舞い方を学ぶ時期でもあります。

学童期(6~12歳)では、母性的な関わりが学習意欲を支援し、
父性的な関わりは目標設定と達成の経験を提供します。
この時期の両親からの適切なサポートは、子どもの自己効力感の形成に重要な時期です。

思春期(12歳~)には、母性的な関わりが心理的なサポートとして機能し、
父性的な関わりはキャリア意識の形成を促します。
この時期の親子関係は、子どもの将来にも大きな影響を与えます。

参考|文部科学省|子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題

社会性の発達への影響

父性と母性のバランスの取れた関わりは、子どもの社会性の発達に大きな影響を与えます。
とくにコミュニケーション能力の発達において、両親それぞれの特徴的な関わり方が重要です。

まとめると、
母性的な関わり・・・他者の感情を理解し、共感する力を育てる
父性的な関わり・・・自己主張や交渉の仕方を学ぶ機会を得る

また、問題解決能力の発達においても、両親の異なるアプローチが相乗効果を生み出します。
母性的な視点からは、感情に配慮しながら問題を解決する方法を学び、
父性的な視点からは、論理的に課題に取り組む姿勢を身につけることができます。

現代社会における父性と母性の課題

共働き家庭での両立

現代の共働き家庭では、父性と母性のバランスを取ることに様々な課題が存在します。
最も大きな課題は時間的制約です。両親が仕事に従事する中で、子どもと質の高い時間を確保することは容易ではありません。

しかし、限られた時間の中でも、意識的に子どもとの関わりの質を高めることが重要です。

たとえば、平日の夕食時間を家族の対話の場として活用したり、
休日には計画的に親子で過ごす時間を設けたりすることで、両親それぞれの役割を果たすことができます。

また、家事や育児の分担を柔軟に行うことで、
両親が互いの特性を活かしながら子育てに関わることが可能になります。

祖父母との関係性も重要な要素。
適切な距離感を保ちながら、祖父母の知恵や経験を取り入れることで、
より豊かな育児環境を作ることができます。

不均衡がもたらすリスク

父性と母性のバランスが崩れると、子どもの発達に様々な影響が現れる可能性があります。
たとえば、父性が不足する環境では、子どもの自己主張が弱くなったり、
社会性の発達が遅れたりする傾向が見られるようです。

とくに、新しいことへの挑戦を躊躇する姿勢や、
リーダーシップを発揮することへの不安が強くなることがあります。

一方、母性が不足する環境では、子どもの情緒面での発達に影響が出やすくなることも。

基本的な安心感が十分に育まれないことで、対人関係の構築に困難を感じたり、
自己肯定感が低下したりする可能性があります。

また、ストレス耐性が弱くなり、困難な状況に直面した際の対処能力が十分に発達しないことも懸念されます。

心理学研究からのアプローチ

アタッチメント理論の新展開

心理学の分野では、子どもの健全な発達における複数のアタッチメント対象の重要性が明らかになっています。

従来は母親との愛着関係が特に注目されていましたが、
現代の研究では、父親との関係も同様に重要であることが示されつつあります※。

とくに注目すべきは、父親の積極的な関与が子どもの社会性の発達に好影響を与えるという研究結果です。
父親との遊びや関わりを通じて、子どもはリスク管理能力や社会的スキルを身につけていきます。

また同時に、母性的な関わりは、子どもの脳の発達、
とくに感情制御に関わる部位の成長を促進することが分かっています。

※一般社団法人|平和政策研究所

現代家族における新しい解釈

家族の形態が多様化した現代社会では、従来の父性・母性の概念も柔軟に解釈される必要があるかもしれません。
たとえば、LGBTQ+家庭では、性別に関係なく、それぞれのパートナーが父性的・母性的な役割を柔軟に担っています。

このような家庭では、子どもの需要に応じて役割を柔軟に切り替える能力が特に重要です。

シングルペアレントの家庭では、一人の親が両方の役割を担う必要があります。
この場合、国や地域社会、親族などのサポートを活用することで、
子どもに多様な関わりの機会を提供することができます※。

また、学校の教師や習い事の指導者など、様々な大人との関わりを通じて、
父性的・母性的な影響を補完することも可能です。

※こども家庭庁|ひとり親家庭等関係
         👆こちらのリンクから様々な支援情報を検索できます。

実践的なアプローチ:バランスの取れた育児のために

父性的なかかわりの実践ポイント

とくに父親が育児に関わる際には、従来の権威的な父親像にとらわれず、
よりバランスの取れたアプローチが求められます。

そのためには、例えば、日常的な関わりの中で感情表現を意識的に豊かにすることで、
子どもとの心理的な距離を縮めることができるでしょう。

また、定期的に子どもと一対一の時間を持つことで、より深い信頼関係を築くことができます。
家事への積極的な参加は、子どもに対して良いロールモデルを示すことにもつながるはずです。

もちろん、このためには多くの課題がありますが、
まずは「自分にできること」から始めてみると良いかもしれません。

参考|こども家庭庁|父親支援の これまでとこれから

母性的なかかわりの実践ポイント

とくに母親は時として子どもとの関係が密着しすぎてしまう傾向があります。
そのため、適度な距離感を保ちながら、子どもの自主性を重視することが重要です。

社会的な経験の機会を意識的に提供し、時には子どもが失敗することも許容する環境づくりを心がけましょう。そうすることで、子どもの自立心と挑戦する勇気を育てることにつながるはずです。

父性・母性:家庭での具体的な実践方法

日常生活での工夫

平日の生活では、限られた時間の中で質の高い親子の関わりを持つことが重要。
食事時の会話では、その日あった出来事を共有し、子どもの感情に寄り添う機会を作りましょう。

就寝前の読み聞かせは、親子の絆を深める貴重な時間となります。
休日には、家族で外出したり、共同で趣味活動を楽しんだりすることで、
より豊かな家族関係を築くことができます。

長期的な視点での取り組み

子育ては長期的な営みであり、家族の価値観を共有しながら、定期的に育児方針を見直すことが大切。
子どもの発達段階に応じて関わり方を見直してみるのもおすすめです。
親自身も成長する機会として捉えることで、より充実した家庭環境を作ることを心がけてみましょう。

父性・母性まとめ:今後の展望

父性と母性のバランスを意識した育児は、子どもの健全な発達に不可欠です。
現代社会では、従来の性別役割にとらわれず、両親がそれぞれの特性を活かしながら、
柔軟に育児に関わることが求められています。

もちろん、完璧を求める必要はありません。
この記事で紹介した知見やテクニックを参考に、
家族それぞれの状況に合わせた育児のあり方を見つけていただければ幸いです。

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