チャレンジクラス(東京都)について簡単に解説!設置背景や目的、入級条件や実施例は?
この記事では、東京都が実施する不登校支援策チャレンジクラスを解説します。
これは、既存の学校施設を活用した「東京型不登校特例校(校内分教室)」と呼ばれる新しい形の支援制度であり、生徒一人ひとりのニーズに対応した、柔軟な支援が特徴です。
分教室とは、もともと、本校とは別の学校外の建物を利用して設置された教室のことです。
本校とは違う場所に通いますが、在籍は本校という扱いです。
校内分教室は、分教室を学校内の既存施設を使用して設置したものです。
分教室では、本校とは別の教育課程を編成することができます。
しかし、東京都にお住まいの方でも、チャレンジクラスについてご存じない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、支援制度の概要と、その目的、入級条件などを網羅的に紹介します。
また、必要に応じて参考リンクも添付してありますので、
さらに詳しい情報を知りたい方のお役に立てれば幸いです。
関連記事👉VLP(ヴァーチャル・ラーニング・プラットフォーム)
東京都の不登校問題と「チャレンジクラス」の設置背景

東京都は深刻化する不登校問題に対して、
「未然防止」「早期支援」「長期化対応」を3つの柱※として取り組みを進めています※。
その一環として、これまでの不登校特例校とは異なる、
新しい形態のチャレンジクラスが登場することとなりました。
以下ではチャレンジクラスの目的や支援内容について紹介します。
※東京都教育委員会ホームページ|令和6年度不登校施策について
10年連続増加する都内の不登校児童生徒数
都内公立小中学校における不登校児童生徒数は年々増加を続けており、
2022年度には約2万7千人にも上る深刻な状況にあります※。
そのため、学校に通えない、あるいは通いたくても通えないという生徒たちの実態を踏まえ、
新たな支援策の必要性が高まりました。
※東京都|「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」についてp18
新たな支援策「チャレンジクラス」の目的
チャレンジクラスの設置目的は、一人ひとりの生徒の状況に応じた柔軟な学びの場を提供し、
そして不登校の解消や学校復帰を後押しすることにあります。
また、既存の学校施設を活用することで、経済的な負担を抑えつつ、
正規の教員による手厚いサポートを実現しようとすることが大きな狙いです。
2023年(令和5年)、文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保証に向けた不登校対策COCOLOプラン」※を提唱し、学びの多様化学校の充実を進めると発表しました。
これにより、東京都は独自の対策として「チャレンジクラス」を提言し、
今後10校の設置を目指しています。
※文部科学省|COCOLOプランリーフレットはコチラ
支援内容について
チャレンジクラスで実施される支援内容は、
大きく分けて「学校内支援」と「学校外支援」の2種類に分けられます。
下記の分類は児童への支援も含まれますが、支援の主な内容として、
東京都は「令和6年度不登校施策」として、以下の項目を示しました。
・直接支援・・・不登校対応の人員追加や不登校対応専門教員の配置および追加。
・スクールカウンセラーの配置・・・スクールカウンセラーなどの心理専門職による心のケア。
・VLP(バーチャル・ラーニング・プラットフォーム)の実施・・・登校できない生徒に対し、仮想空間を使った授業や学びの場の提供
・不登校対応巡回教員の配置・・・特定の学校に限らず、地域の学校を幅広くカバーし、不登校の対応力を強める。
など。
参考|東京都教育委員会ホームページ|令和6年度不登校施策について
・スクールソーシャルワーカーの機能強化・・・不登校を未然に防止するためのガイドライン・研修体系の構築。また、学校内外の支援の向上
・不登校児童・生徒の社会的自立に向けた体験活動プログラムの実施・・・教育機会を保ち、不登校児童・生徒への体験活動を提供。社会的自立への支援も兼ねる。
・教育支援センター機能強化補助事業の実施・・・不登校生とへの居場所作り、学習支援の提供
など。
参考|東京都教育委員会ホームページ|令和6年度不登校施策について
チャレンジクラスとフリースクールの違い

不登校支援として「フリースクール」を思い浮かべる人がいるかもしれません。
しかし、チャレンジクラスは、これまでのフリースクールとは大きく異なる特徴を持っており、
費用面や支援体制、教育内容など、さまざまな違いがあります。
「フリースクールとどこが違うの?」と疑問をお持ちの方のために、
その違いについていくつか見てみましょう。
なお、適応指導教室とフリースクールの違いについてはコチラの記事から参照できます。
費用面での格差
フリースクールの場合、1か月あたりの平均授業料が3万3000円に上る※のに対し、
チャレンジクラスはほぼ無料で利用できます。
そのため、経済的な負担が大きな課題となっていた不登校生徒家庭にとって、
チャレンジクラスは格安の選択肢となるはずです。
費用面での心配が軽減されるだけでも、
安心される方も多いのではないでしょうか。
※文部科学省|小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関するる調査
正規教員によるサポート
フリースクールの指導員は、必ずしも教育の専門家ではないケースがあります。
しかし、チャレンジクラスでは正規の教員が生徒一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかなサポートを提供します。
そのため、学習面だけでなく、生活リズムの改善や心のケアなど、
多角的なサポートが実施されるのが特徴です。
学校との連携体制
フリースクールは学校外の教育機関ですが、
チャレンジクラスは公立中学校の一部として設置されているものです。
なので、元の在籍校とも密接に連携しながら支援を行い、
最終的な学校復帰を見据えた取り組みができるのがチャレンジクラスのメリットです。
チャレンジクラスの特徴と支援体制
チャレンジクラスには、従来の不登校特例校にはない様々な特徴が備わっています。
まず何より、正規の教員が生徒一人ひとりの支援に当たることが大きな特徴と言えるでしょう。
加えて、既存の学校施設を活用することで、
新規の建設に伴う経費面での負担を大幅に抑えられるというメリットもあります。
正規教員による手厚いサポート
チャレンジクラスでは、専任の正規教員が生徒一人ひとりの状況に合わせた細やかなサポートを行います。
単に学習指導にとどまらず、生活リズムの改善や心のケアなど、様々な側面からきめ細かな支援が期待できます。
また、本校の教員との連携も密に行われるため、
生徒の成長に合わせた継続的な支援も期待できるでしょう。
個別学習とグループ学習の組み合わせ
チャレンジクラスのカリキュラムは、
通常の中学校の年間授業時数よりも大幅に少ない週19時間程度となっています。
しかし、その時間の中で生徒一人ひとりの実態に合わせた個別学習とグループ学習を組み合わせ、
きめ細かな指導を行うことが特徴です。
さらに、生徒の興味関心に合わせた体験活動なども取り入れ、学習意欲の向上を図っています。
チャレンジクラスの入級条件と流れ

チャレンジクラスへの入級を希望する生徒とその保護者は、一定の条件を満たす必要があります。
また、入級までにはいくつかのステップがありますので、簡単な流れを見てみましょう。
入級に必要な条件
チャレンジクラスの入級対象となるのは、社会的要因や背景により、
学校に通えない、あるいは通いたくても通えない状況にある中学生です。
具体的には、教室に入れない、または入りたくても入れない生徒が該当します。
加えて、保護者と生徒がともにチャレンジクラスへの入級に同意していることも必須の条件です。
なお、文部科学省は不登校を次のように定義しています。
「不登児校童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
引用|文部科学省|不登校の現状に関する認識
入級条件の例として、江戸川区篠崎中学校を参考に見てみましょう。
・体験期間中、オンライン対応も含めおおよそ6割以 上参加していること。ここでいう「参加」とは、1日のうち1時間でも参加できた場合です。
・生徒、保護者ともにチャレンジクラスに入級することを同意していること。
・生徒が通学に対して意欲的であり、学習に取り組む ことができること。
・原則、自力で通学が可能なこと。
上記の条件を満たすとともに、入級審査会で認めらた場合に正式に入級となります。
具体的な入級申請から体験入級までのステップ
入級申請から体験入学のステップは概ね以下の通りです。
まず保護者が在籍中学校に入級希望を伝え、申請書を区の教育委員会に提出。
その後、チャレンジクラスの見学や約2週間の体験入級を経て、
最終的に入級審査会で許可が下りれば、正式な入級となります。
例えば、江戸川区篠崎中学校では、体験期間中、
おおむね6割以上の参加を条件とし(オンライン含む)、自力で通学できることも条件に含まれているようです。
なお、一定期間は「準備教室」に入室し、
生活リズムの改善や学習意欲の向上などの支援を受けられる学校もあります。
チャレンジクラスのカリキュラムと1日の流れ
チャレンジクラスでは、通常の中学校とは異なる特別な教育課程が用意され、
1日の過ごし方にも独自のスタイルが採用されています。
支援内容は、各学校ごとに違いがありますが、
一例として、中野区のチャレンジクラスのカリキュラムを見てみましょう。
中野区では、1日に4時間というゆとりある時間割を採用しており、
音楽や家庭科、プログラミングなどの授業を通じて生徒のチャレンジ精神を養います。
1日の大まかなスケジュールは次の通りです。
・登校(9時30分まで)
・1時校(9時50〜10時40分)
・2時校(10時50分〜11時40分)
・3時校(11時50分〜12時40分)
・給食(12時50分〜13時10分)
・昼休み(13時10分〜13時30分)
・4時校(13時35分〜14時25分)
・清掃、帰りの学級活動、下校(14時30分〜)
参考例|中野区|中野区長定例記者会見資料p6から作成
標準より少ない年間授業時数
チャレンジクラスの年間授業時数は、通常の中学校の年間1,015時間に対し、
約665時間と大幅に少ないのが特徴です。
しかし、その限られた時間の中で一人ひとりの実態に合わせた学びが提供されます。
生徒の興味関心に合わせた体験活動
チャレンジクラスでは、単なる教科学習にとどまらず、
生徒の興味関心に合わせた様々な体験活動も行われます。
これにより、学習意欲の向上や社会性の育成など、
多角的なアプローチで生徒の成長を支援することが可能です。
Q&A – チャレンジクラスについてよくある質問
ここからは、チャレンジクラスに関する主な疑問にQ&A形式で答えていきます。
Q. チャレンジクラスには誰が通える?
A. チャレンジクラスの対象は、社会的要因や背景により、通常の学校に通えない、あるいは通いたくても通えない状況にある中学生です。
具体的には、教室に入れない、または入りたくても入れない生徒が入級の条件となります。
Q. チャレンジクラスに入級するにはどのような手順がある?
A. まず保護者が在籍中学校に入級希望を伝え、申請書を住んでいる区や市の教育委員会に提出します。
その後、チャレンジクラスの見学や約2週間の体験入級を経て、
最終的に入級審査会で許可が下りれば、正式な入級となります。
Q. チャレンジクラスに通っていても、元の学校に戻ることはできる?
A. 保護者が申し出て、退級審査会での許可を得れば、在籍していた中学校に戻ることができます。
その際の転出入の手続きも学校が行います。
まとめ – チャレンジクラスは不登校生徒の新たな選択肢
「チャレンジクラス」は、不登校問題への新たな取り組みとして期待されています。
既存の学校施設を活用し、正規の教員による手厚いサポートを実現することで、
経済的な負担も抑えつつ、一人ひとりの生徒の状況に応じた柔軟な学びの場を提供しようというものです。
これまでのフリースクールとは大きく異なり、費用面での格差や支援体制、学校との連携など、
多くの点で不登校生徒にとってより心強い選択肢となることが期待されます。
なお、東京都の施策については以下のサイトからご覧ください👇
東京都教育委員会|とうきょうの教育 第132号 中学校版
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