少年鑑別所の入所数は増えている?少年院との違いや期間、相談窓口を簡単に解説!
近年、少年非行のニュースを目にする機会が増え、それに伴い「少年鑑別所」という言葉への関心が高まっています。
しかし、少年鑑別所が具体的にどのような施設で、どのような役割を持っているのか、また少年院とは何が違うのか、きちんと理解している方は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、少年鑑別所の役割や収容期間、そして近年注目される入所者数の動向について解説します。
意外にも、多くの人の直感と相反する結果となっているかもしれません。
また、もしもご自身のお子様が事件に関わってしまった場合に、どのように対応し、どこに相談すれば良いのか、具体的な情報まで網羅的に紹介します!
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なぜ今、「少年鑑別所」が注目されているのか?

少年鑑別所とは、非行を起こした少年が更生に向けた道筋を探る上で、重要な役割を担う施設です。
その役割が今、特に注目される背景には、 近年の少年非行の動向 があります。
法務省の資料※によると、2022年(令和4年)の少年の刑法犯検挙人員は前年比2.5%増の2万912人となり、 19年ぶりに増加に転じました。
増加の要因としては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限の緩和により増加した「窃盗」や、SNSで高額報酬をうたう、いわゆる「闇バイト」で集められたとされる「特殊詐欺」などが挙げられています。
こうした非行の増加傾向は、少年鑑別所へ送致される人員の動向にも影響が出ているようです。
一方で、2024年(令和6年)の法務省の調査によれば、1日平均の収容人数が397人と、前の年(365人)と比べて8.8%増加しているものの、直近10年間にわたるデータでは、半数以下となり、大幅な減少傾向にあります※。
メディアでは少年犯罪が大きく取り上げられますが、実態は、かなり減少していることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
※法務省|令和5年版犯罪白書の概要.p2
※法務省|少年鑑別所1|収容状況表2
少年鑑別所とは?役割と目的
少年鑑別所(正式名称:法務省所管の少年鑑別所)は、少年事件の手続きにおいて、少年の特性を専門的に調査・分析するために設置された施設です。
もう少し詳しく紹介します。
少年鑑別所の定義と基本
少年鑑別所は、 医学・心理学・教育学・社会学その他の専門知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行う、法務省管轄の施設 です。
現在、各都道府県に1カ所ずつ、北海道に4カ所、東京・福岡に2カ所、 計52か所設置されています。
最も重要な役割は、家庭裁判所における審判を行うために、非行少年を一時的に収容し、 少年を観察・調査する場所 であることです。
参考|法務省|少年鑑別所一覧
少年鑑別所の3つの主な役割
少年鑑別所には、主に以下の3つの役割があります。
- 鑑別の実施 :専門的な知識や技術に基づき、心理検査や面接などを通じて少年の資質を鑑別します。
- 観護措置の実施 :収容された少年の特性に応じた観護措置(健全な育成支援)を行います。
- 地域社会における支援 :非行や犯罪の防止に関する相談対応やカウンセリングなどの援助を実施します。
参考|法務省|少年鑑別所
鑑別所入所の根拠となる「観護措置」
少年が少年鑑別所に収容されるのは、家庭裁判所から 観護措置 (かんごそち)の決定が下された場合です。
観護措置は、以下のいずれかの必要性がある場合に決定されます。
- 身体拘束の必要性 (逃亡や証拠隠滅のおそれ、住所不定の場合)。
- 緊急保護の必要性 (自殺や自傷行為のおそれがある場合)。
- 心身鑑別の必要性 (社会から一時的に隔離して、継続的な行動観察や心理的鑑別をおこなう必要がある場合)。
実務上、多くの場合、 「収容して心身鑑別を行う必要がある」 ことが観護措置の主な理由となり、少年鑑別所への送致につながります。
少年鑑別所と少年院の決定的な違いと収容期間
少年院と混同されがちですが、目的も機能も明確に異なるため、注意が必要です。
少年鑑別所と少年院の違い【比較表】
| 項目 | 少年鑑別所 | 少年院 |
| 目的 | 調査・鑑別 (処分決定のための資料作成) | 矯正教育 (社会復帰を目指した教育) |
| 収容されるタイミング | 少年審判の前 に一時的に収容される | 少年審判の結果 、「矯正教育が必要」と判断された後 |
| 収容期間 | 原則最大4週間、特別更新で最大8週間 | 処分によって異なる |
つまり、少年鑑別所は、少年の性格や非行の背景を調査・分析する施設 (診断の段階)。
少年院は、 非行を是正するための矯正教育を行う施設 (治療の段階)であるという違いがあります。
少年鑑別所の標準的な収容期間
観護措置による少年鑑別所への収容期間は、原則として 最大2週間と定められています。
しかし、 現実的には1回に限り延長されることが多いようで 、実質的には最長4週間が一般的な収容期間となります。
さらに、以下のような一定の事情がある場合には、さらに2回までの「特別更新」が認められ、観護措置の期間が最大8週間まで延長されることがあります。
- 少年が 死刑、懲役、または禁錮に当たる罪 を犯したとされる場合。
- 非行事実の認定に証人尋問、精神鑑定、検証などが必要と判断された場合。
鑑別所での具体的な生活と鑑別の流れ
少年鑑別所に収容された少年は、生活環境の見直しや調査官による調査など、規則正しい生活が求められます。
- 鑑別のプロセス :担当の 鑑別技官 (職員)が付き、少年の内面や行動をチェックします。具体的には、鑑別技官が少年と 面接 したり、 知能テストや心理テスト を受けさせたりして、内面における問題点を把握していきます。
- 生活環境 :少年は鍵の付いた個室の中に拘束されますが、検査や面接の合間に 運動の時間や読書の時間 も設けられています。学校の勉強に遅れをとらないよう、教科書や問題集を使って自習する少年もいます。
- 調査官の関与 :収容期間中には、家庭裁判所の 調査官が数回訪問 し、非行事件の内容や少年の生育環境などについて調査を行います。
- 最終報告 :鑑別所での観察・調査の結果は、「 鑑別結果通知書 」として家庭裁判所に提出されます。この通知書は、少年審判における処分の判断材料となります。
少年鑑別所の入所数は増えている?近年の動向

近年の少年鑑別所への送致人員(観護措置が取られた人員)は、長期的に見れば減少傾向にありましたが、直近のデータでは増加傾向が見られます。
少年鑑別所送致人員の推移
法務省のデータによると、少年鑑別所送致人員の推移は以下の通りです。
- 令和元年:5,479人
- 令和3年:4,568人
- 令和5年:5,451人
令和3年(4,568人)と比較すると、 令和5年(5,451人)の送致人員は増加しています。
これは、2022年(令和4年)に少年の刑法犯検挙人員が19年ぶりに増加に転じたという非行の情勢変化と同様の傾向を示すものです。
しかし上述のように、全体としては減少傾向にあることは間違いありません。
参考|法務省|少年鑑別所1|収容状況表2
観護措置決定後の異議申立て・取消し
万が一、観護措置が決定され、少年が少年鑑別所に収容されてしまった場合でも、その決定に対して争う手段が存在します。
- 観護措置決定に対する異議申立て
- 少年や法定代理人、付添人(弁護士)が家庭裁判所に対して決定の変更を申し立てる手続きです。
- この場合、決定をした裁判官とは別の合議体(複数の裁判官)が判断を行います。
- 弁護士(付添人)が異議申立てを行った結果、観護措置決定が取り消され、 入学試験を控えた少年が翌日釈放された 解決実績もあります。
- 観護措置取消申立て
- 観護措置の決定後に、事件の内容や調査結果などにより「観護措置の必要がなくなった」ことを主張し、速やかな取り消しを求める手続きです。
観護措置が認められるケースは多いのが実情ですが、弁護士による迅速な対応によって、収容の不利益を回避できる可能性があるため、早期の相談が非常に重要です。
少年事件に関する相談窓口と支援先
少年事件に直面した場合、迅速に適切な支援を受けることが少年の更生につながります。
以下では、もしもの時の相談窓口と、鑑別所内での生活モデルを見てみましょう。
法的な問題が発生した場合の相談窓口
当事者やご家族などの問題を相談したい方のために、国は法務少年支援センターを設置しています。
支援センターには、法務技官と呼ばれる専門職が置かれ、心理・教育分野においてさまざまな支援が受けられます。
法務少年支援センターは全国各地に設けられているため、相談や不安を抱えている方は、積極的に相談することをおすすめします。
相談時間は、面接の場合はおよそ50分、電話相談は30分程度が一般的です。
また一度の相談だけでなく、継続的に相談することもできます。
➡️全国の法務少年支援センターへのリンクはコチラ。
少年鑑別所における生活
万が一、少年鑑別所に送られてしまった場合、生活スタイルを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。法務省発行の少年鑑別所のしおりでは、鑑別所での1日の流れを次のように紹介しています。
- 7:00 起床・洗面
- 7:30 朝食・点呼
- 9:00 運動
- 10:00 面接・心理検査
- 12:00 昼食
- 13:00 学習支援・講和
- 14:30 面会
- 15:30 入浴
- 17:00 夕食・点呼
- 18:00 日記記入・自由時間
- 21:00 就寝
規則正しい生活を送ることで生活習慣を整え、社会生活の知識や能力を養うことを目的としています。
一般面会
面会についても簡単に見てみましょう。
一般面会で面会できるのは、原則として 三親等以内の親族 や、在学中の 学校の先生 などに限られます。
友人や交際相手など、親族ではない人物は認められないケースが多いので注意が必要です。
- 日時 : 平日の日中 (例:午前8時30分から午前11時30分、午後1時00分から午後4時30分まで)に限られます。夜間・土日祝日の面会はできません。
- 時間 :1回の面会時間は、おおむね 約15分程度 です。
- 立会い :面会時には 職員が立ち会います (近親者等の場合は立ち会いがない場合もあります)。
- 場所 :面会用の個室で行われますが、警察の留置施設のようなアクリル板の仕切りはありません。
弁護士(付添人)による面会
弁護士(付添人)による面会は、少年にとって非常に重要な支援となります。
- 日時 :事前に予約すれば、 夜間や土日祝日でも面会が可能 です。
- 時間 : 時間制限がありません 。
- 立会い : 職員の立ち会いはなく 、少年と二人きりで話すことができます。
付添人は、少年の法的権利を守るだけでなく、外部との唯一の橋渡し役となり、少年が安心して心を開いて話せる相手となることが多いです。
少年鑑別所の入所数について:まとめ
今回は、少年鑑別所の人員推移を中心に、概要をお伝えしました。
少年鑑別所は、非行を犯した少年が立ち直るために、医学・心理学などの専門的知見に基づいて少年の資質を鑑別する施設であり、矯正教育を目的とする少年院とはその役割が異なります。
直近10年間においては減少しつつあるものの、近年の少年非行の情勢変化に伴い、少年鑑別所送致人員は増加傾向にあるようです。
こうした問題が起きないことがベストではありますが、万が一の場合に備えて、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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